【大相撲】「張出横綱」とは?「張出」の意味など詳しく解説!

大相撲を知っていくうちにもしかしたら「張出横綱」といった言葉を耳にするかもしれません。特に「張出」という、あまり馴染みのない言葉は、ほんの一昔前までは番付によく使われていた「地位」です。

当記事では、「張出横綱」、特に「張出」の意味について詳しく解説しています。気になった方はどうぞ寄ってってください!

「張出横綱」とは?「張出」の意味は何?

196262年5月場所の番付、上部がやや出ているのが分かる。当時の張出横綱は若乃花

張出横綱とは、番付の枠外に記載される横綱のこと。

実は当時の番付は、原則として三役あるいは横綱については、西東それぞれに1人ずつしかのせられず、仮に同じ地位に3人以上の力士がいた場合、番付枠外に記載されていました。また、公傷制度があった当時においては、その対象となる力士が枠外にも。

そして、これが俗にいう「張出(はりだし)」です。

筆者も確認しましたが、確かに少し番付からはみ出て四股名に記載されており、張り出しているように見えます。

つまり、張出横綱とは、横綱が3人以上いた場合、東西に記載しきれなかった3人目もしくはそれ以上の横綱を指します。さらに大関だと張出横綱、関脇だと張出関脇、小結だと張出小結となるわけです。より正確には、東張出横綱と頭に東・西がつきます。

ちなみに最初の張出横綱は、1890年5月場所に東張出横綱として番付に出た、西ノ海(初代)とのこと。横綱という文字が番付に使われたのもこの時が初。また、1863年7月には、東張出関脇・陣幕の番付の記載も見られます。

現在は事実上の廃止

当時は当たり前だった張出も、1994年7月場所以降は使用されることがなくなり、事実上廃止となっています。そして現在だと、横綱、大関を含め例え3人以上でも、しっかり番付の欄内に収まっているのは誰もが知るところ。

張出はやや下の地位

張出横綱や張出大関は、単に番付のやや外にあるだけで、その地位は通常の横綱と全く同じかというと実はそうではありません。

番付の東西にきちんと収まった2人の力士は「正位」、それ以外は「張出」と呼ばれ、少なくとも当時の張出は正位に比べてやや下位にあたる地位と目する場合がほとんど。

あくまでも東西に収まった力士こそが、真の横綱、大関。ですから、張出は決して褒められた地位ではなかったわけです。

総括

  • 張出とは、番付に収まらなかった力士を
  • 張出の横綱を俗に「張出横綱」、大関は「張出大関」と呼んだ。
  • 張出は正位よりもやや下位。
  • 今では見られない張出がのった番付。筆者もリアルタイムで見てみたかった。

あと、当時の名残からか、古くからの好角家は、今でも3人以上の横綱や大関を張出と見る方も少なくないようです。