相撲の起源を知ろう!発祥はどこ?奈良VS島根

2019年4月19日

相撲の起源はいつ、どこなのか?相撲好きであれば気になって仕方がないはず。そこで、相撲の起源について筆者が調べ当記事でまとめてみました。

また、相撲の発祥についても奈良と島根とで意見が2分されていますが、それに関しても筆者なりの見解を示してみました。興味のある方どうぞ寄ってってください。

相撲の起源

日本の国技といわれる相撲。その起源をさかのぼると少なくとも約1400~1500年前の古墳時代にいきつくとされています。そしてこれは、各地にある古墳から発見された埴輪や土偶、さらには『古事記』や『日本書紀』といった書物などで伺い知ることができます。

埴輪・土偶

古来より日本において相撲が行われていたことは、古墳で発掘された埴輪や土偶などからでも分かります。

たとえば岡山県牛窓町鹿忍で発見された須恵器には、二人の男が立ち会って組んでいる様子が表現されています。また、和歌山県井辺八幡山の古墳では、裸姿で褌(ふんどし)を締めた埴輪が発見されています。

『古事記』・『日本書紀』にも相撲!?

日本で現存する最古の書物といわれる『古事記』・『日本書紀』。実はこの2つの書物からも、相撲が古来より行われていたことを読み取ることができます。

『古事記』(上巻)には、武御雷神(たけみかずちのかみ)と武御名方神(たけみなかたのかみ)が、出雲国(現:島根県)にて力比べをしていたとの説話が書かれています。この力比べは手乞(てこい)と呼ばれ、相撲の原型と考えられています。

その後、『日本書紀』では、野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)との勝負が描かれており、この勝負こそが相撲の起源とされています。勝負は、野見宿禰が当麻蹶速の腰の骨を折るなどして勝利するという、現在の相撲とは到底結びつく内容のものではありません。

ですが、記述ではその2人の勝負は「捔力(すまい)らしむ」と確かに相撲との表現が見受けられることから、現在では日本書紀での両者の戦いこそが相撲の起源とされています。

また、いずれ書籍の記述は歴史的事実としてはなく、神話説話とみるのが大方の見解となっています。当時の両者の争いを相撲に置き換えて表現したとされています。ただ、相撲との記述があることから、少なくともこれら書籍のあった奈良時代以前より、相撲が存在したことに変わりはないといえます。

相撲発祥論争!奈良VS島根

相撲の発祥地とされる奈良とは別の地もあることも判明しました。はたして、どちらが正しいのかを詳しく検証していきます。

相撲の発祥地・奈良

相撲の発祥は奈良、相撲好きの方であるならば1度は耳にしたことがあるかもしれません。では、なぜ奈良が発祥なのか?それは先の項目でもご紹介した『日本書紀』が大きく関係しています。

『日本書紀』には、野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)が相撲をとったという記述があり、事実上この取組が相撲の起源といわれています。そしてこのとき、両者が相撲を取り行った場所こそが大和国、現在でいう奈良県です。

つまり、相撲の起源とされる取組が行われた場所だったという理由で、奈良が相撲の発祥となっているわけです。実際、相撲ファンのなかの多くは奈良こそが相撲の発祥地だと信じている方も少なくありません。

ところがこの相撲の発祥が奈良というのに異議を唱えるのが島根県です。

島根県も相撲の発祥地!

実は古来、『日本書紀』以外にも相撲に関する記述が記載された書籍が存在します。そして、その書籍は『日本書紀』以前に編纂された唯一の書籍です。そう、『古事記』です。

『古事記』にも相撲の原型となる手乞い、いわゆる力比べが武御雷神(たけみかずちのかみ)と武御名方神(たけみなかたのかみ)行ったとされる記述がなされているのです。

そして、その力比べ行われた地こそが出雲国、現在の島根だというわけです。ですから、相撲の発祥は島根とするのもうなづけます。

筆者も確認しましたが、島根県のホームページには、相撲発祥は島根と堂々と掲載されています。

ちなみに『日本書紀』で相撲で勝負した野見宿禰の出身地も出雲です。

結局どっち?

結論をさっきにいってしまえば、現時点では奈良も島根ともに発祥地であるといっても差し支えないです。

相撲協会の公式ホームページでも、相撲の起源に関して「我が国の相撲の起源としては、古事記(712年)や日本書紀(720年)の中にある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説があげられる。」と両方の起源の話を掲載しています。

ぶっちゃけ、協会もはっきりしたことは分からないのが、本当のところでしょう。

さらにいえば、起源の話に関しては、『古事記』、『日本書紀』ともに歴史的事実ではないとするのがほぼ間違いないみたいです。ですから、そもそも奈良と島根が相撲の発祥地だということも全くのデタラメだという可能性も否定できないわけです。

ゆえに相撲の発祥地はどこ聞かれた際は、現時点では奈良か島根らしいよと答えるのがベターといえます。

まとめ

相撲の起源は、古墳時代には既にあったことは確実視されているものの正確な年代についてはまだはっきりしていないのが現状です。さらに発祥地に関しても同様のことがいえ、奈良と島根が有力な候補ではあるもの断定とするのは疑問がつくところです。ただ、奈良および島根ともに相撲の発祥地として様々な行事を行っているので、興味のある方はぜひ参加してみるとよいでしょう。

参考文献『日本相撲大鑑』