「相撲は国技ではない」を論破する!結果は如何に!

2020年8月5日

最近になって「相撲は国技ではない!」といった声が目立ちます。実際、メディアではもっともらしいことを述べています。ただ、相撲好きの筆者にとっては、「果たしてそれは本当なの?」と疑問を持たざるを得ません。

そこで今回は相撲は国技ではないといった主張を論破するべく、持てる力を全て使って徹底的に調べあげました。結果に興味のある方はどうぞ寄ってってください!

相撲は日本の「国技」ではない!?

とある日のことです。筆者はいつものようにご飯片手に某番組を視聴していたのですが、豆知識的な感じで次のようなことを大々的に言っていました。

相撲は日本の「国技」ではない!?

…これまでずっと相撲を日本の国技だと思っていた筆者には衝撃が走りました。その番組も最もなことを言ったので、筆者もその時はつい、そうか相撲って国技じゃないんだな・・・と完全に納得。まぁ、松阪牛も最近になって「まつざかうし」と呼ぶようになったしな、と同時に思ったり思わなかったり。ただ筆者は「まつざかぎゅう」と今でも呼びますが。

と同時に相撲好きな筆者はとしてはやはり少し寂しい気持ちにもなりました。相撲は日本の国技である!は、相撲のある種の誇れる部分だということも決して否定できなかったからです。

ただ、後々になってあれ?でも相撲は国技だ!なんてのは今でもよく聞くぞ。それに今更になって相撲が国技じゃないないなんて、ふざけんな!となかば逆ギレしました。

そして、納得のいかない筆者は、相撲は国技と呼べないといった主張を論破しようと思いたったのです。

法律では国技の記載なし!しかし!

相撲が国技ではないとされる最大の理由。

それは、法律で相撲が国技として認められてないから。

これが先の某番組でも行ってた相撲を国技としない最大の根拠です。その他各種メディア等でも、相撲を国技と認めない主張として一貫しています。

筆者も最初これを聞いてなるほどなーと完全に納得したのを覚えています。

また、ブラジルはカポエラ、チリはロデオといったように他国では法的に国技として認められたスポーツ・武芸があるのも先の根拠の裏付けになります。

しかし、しかしですよ、ここである意外な事実が発覚します。

それは日本の法律において、国家・国旗、天皇以外に国の象徴とされるものはない!

つまり、これはどういことかというと、そもそも日本に国技なるものはない、ということです。六法全書にも「国旗及び国家に関する法律」が記載されているだけで、国技に関する記述は一切なし。

また、ここで勘の鋭い人であれば国鳥、国花を思い浮かべた人もいるでしょう。そう!先の論拠から言えば、日本では国技はおろか国鳥、国花なども認めらないことになるのです。

ですが、筆者はふとこう思ったのです。ん?でもちょっと待て?国鳥はキジで国花は桜、菊って今でもクイズ番組でよく聞くじゃねーか!?相撲は国技でないといってるが、同じように法的に認められてない国鳥や国家はOKはなんかおかしくないか?と。

もしかしたら、我々は単にメディアに振り回されていただけなのかもしれません。

辞書には相撲を国技とも、Wikipediaも実は肯定的?

法的に相撲が国技と認められていないことは間違いありません。ただ、辞書で国技について調べてみると次のように記載されていました。

こくぎ【国技】〘名〙その国を代表する、特有な技芸、武芸、スポーツ。日本の国技は相撲とされている。 
日本国語大辞典5 第二版


「されている」と、辞書も相撲が国技かそうでないかをやや気にしていると考えられなくもありませんが、一応相撲は国技とされているようには記載されています。

また、同様に辞書によれば国鳥はキジ、国花は桜・菊とはっきりと記載されています。特に国鳥に関しては「昭和22年(1947年)の鳥類学会で選定された。」と、その根拠も明示しています。

なるほど学会で国鳥はキジとされているんですね。これはつまり、法的には無理でも学術的には国鳥がキジといえるわけです。

ですから、たとえ法的には認められずとも、学術的な別の立場において、国鳥や国家、さらに国技も認められるケースがあるということです。

また、みんな大好きWikipediaでも「日本国内に正式な国技はない」と記載しているものの、「『国技』はあくまで『相撲道』全体」として、暗に相撲は国技であることを示唆しています。ここではあくまでも「大相撲」は国技でないとの見方です。

さらにわざわざ判例を引っ提げて、「国技たる相撲」という理由で主張が退けられたケースをご丁寧に引用してくれております。

きっと、主張が退けられた人は、「法律では相撲は国技じゃないぞ!」と声を大にしてあげたことでしょう。

結局のところ、法的に相撲を認めずとも、別の立場において、相撲を国技とすることを否定することはできないのです。

そもそも相撲はいつから国技と呼ばれた?

そもそも相撲が広く「国技」と呼ばれるようになったのは、相撲の聖地「国技館」の建設が事の発端です。国技館建設前は、一般市民は国技という言葉すら知らなかったいっても決して言い過ぎではありません。

国技館設立に関しては、その設立までの軌跡を記した『相撲、国技となる。』(2002、大修館書店、風見明)に詳しく書かれており、国技館命名に際しては「初興行披露状の中になる『角力(すもう)は日本の国技』」をヒントにした」とあります。

ここでポイントとなるには相撲を国技とした「初興行披露状」。披露状は、小説家だった「江見水蔭」が書いたのもので、彼は大の好角家であったことでも知られています。

つまり、江見水蔭が初興行披露状に相撲を国技と書いたことから、国技館という館名が決まり、そのまま相撲が国技として広く認知されるようになったというわけです。ゆえに江見水蔭は、相撲を国技とした最初の人物と目されています。

身も蓋もない言い方をすれば、江見水蔭が好角家だったゆえに相撲は国技となったともいえるのです!一応、奈良時代からあった相撲節会などを上げて、相撲が国技の根拠にしていますが…。

相撲以外にも国技と呼べるものがある!

国技館命名が、相撲が国技と呼ばれるようになった経緯であり、その根拠です。

ただし!ここで注意しないといけないのは、当時から国技と呼べる競技は相撲以外にもあったということです。剣道、柔道が、まさにそれ。

特に日本発祥の柔道は今や世界大会も開かれ、その競技人口、認知度からすればもしかしたら相撲よりもより国技と呼ぶにふさわしい競技ともいえるかもしれません。

ですから、日本古来よりある相撲を国技とするのは最もですが、それ以外に国技と呼べる武道・スポーツがあるのを全く否定するのも危険といえるでしょう。

結局のところどうなのさ?

結論からいえば、確かに法的に相撲は国技とは言えないものの、例えば学術的な立場から見ると相撲を国技と言える場合もある、というのが実際のところでしょう。

ケースバイケースです。国鳥や国花がよい例です。弁護士だと相撲は国技でない!学者だと相撲は国技だ!だというようなものでしょう。少なくとも一律に相撲を国技でないと断言するのはさすがに極論過ぎます。

ただ、剣道・柔道など、相撲以外にも国技と呼べる可能性があるスポーツ・武芸があるのも事実で、相撲だけを国技とするのは少々危険かもしれません。一言に国技といっても様々だということです。

いずれにせよ、今後も筆者は「相撲は国技」と呼び続けていきたいと思います。その歴史を鑑みるに、やはり相撲は日本の伝統が誇る国技です。