「巴戦」とは?確率が不公平だった!?

2019年4月28日

大相撲では、複数人の力士が優勝決定戦に残った場合、「巴戦」と呼ばれる少し特殊な取り決めによって優勝を決めることになります。

当記事では、その巴戦について詳しく解説するとともに、過去に巴戦によって優勝を争った場所や、その優勝確立などについて取り上げています。巴戦について気になっている方は、どうぞ寄ってって下さい。

巴戦とは?

巴戦は、本割後に優勝決定戦を3人、あるいはそれ以上で争うことになった場合に用いられる方式です。特に大相撲トーナメントの十両だと、巴戦で優勝決定戦を行われることになっています。

取組順は、まず初めクジで2人を選び取組を決めます。そして、勝った力士が残りの力士とすぐ対戦して、先に2連勝した力士が優勝となります。もし2連勝する力士が出ない場合は、そのまま優勝が決まるまでずっと争うことになります。

ですから、もし2連勝することなければ、終わるまで永遠と続けられるサドンデスとなってしまう可能性もなきにしもあらずです。

過去の巴戦

過去に優勝決定戦を巴戦で行った場所は下記の通りになっています。

  • 1956年3月場所:朝汐(優勝)、若乃花、若羽黒
  • 1961年9月場所:大鵬(優勝)、柏戸、明武谷
  • 1965年9月場所: 柏戸(優勝)、明武谷、佐田の山
  • 1990年3月場所:北勝海(優勝)、小錦、霧島
  • 1993年7月場所:曙(優勝)、貴乃花、若乃花
  • 1994年3月場所:曙(優勝)、貴ノ浪、貴闘力

このように巴戦での優勝決定戦は数えるほどしかありません。ちなみに1990年3月場所が、最も長い4番で優勝が決まっています。

また、1996年11月場所だと優勝決定戦に曙、武蔵丸、貴ノ浪、魁皇、若乃花の5人の力士が残りって、初めトーナメントで3人の力士を決めてから、巴戦で優勝(武蔵丸)を決めています。

巴戦の優勝確率が不公平?

 大相撲において、一種独特の方式ともいえる巴戦ですが、実は取組の順番によって優勝できる確率が異なる不公平な方式でもあるのです。
 
 実力が全く同じであることが前提なのですが、数学的に巴戦の優勝確率を求めた場合、なんと先に戦う2人の力士と、後に残った一人の力士とでは、その確率が異なるのです。
 
 その確立ですが、先に戦った力士だと値が5/14となり約36%で優勝できることになります。これに対して残り一人となった力士の場合だと4/14の約29%との値が出てきます。(算出方法は調べればすぐに出てきます。)
 
 これにより、巴戦だと戦う順番によって優勝できる可能性が約7%の差が出てしまい、先に戦う力士2人が有利となります。ですから、巴戦は公平性に欠け、決して平等とはいえません。
 
 ただし!先に示した過去の巴戦の対戦成績だと、数が少ないながらも6回中3回は、後の力士が優勝しています。これはちょうど半分の50%で優勝していることになるので、確率通りになっていないことが分かります。
 
 なんだかんだで、結局、実力がものをいう世界だということです。